前回の記事について、ちょっとだけ補足の説明です。
思ったより長くなってしまったので、加筆ではなく別記事として投稿しました。
前回のおさらい
【要約】音楽は、「不安になる響き」と「安心する響き」を繰り返して進んでいきます。
本記事で補足する内容
Q:「不安」とか「安心」とか言ってるけど、これって感覚的なもの?人それぞれじゃないの?
A:違います。音の響きは、物理学的に説明が可能です。
ピアノの構造
まず、ピアノの構造について。
これ、どちらも「ド」の音です。
左が「低いド」で、右が「高いド」ですね。
で、この「低いド」と「高いド」の間には、鍵盤が12個あります。(白鍵:7個、黒鍵:5個)
言い換えると、「低いド」から「高いド」の間を12等分して、それぞれに鍵盤を割り当てたのがピアノという楽器、となります。
鍵盤同士の距離で響き方が決まります
結論から言うと、音の響きというのは、鍵盤同士の距離によって「安心」か「不安」に分類されます。
距離を測るために、わかりやすく横1列にして、番号を振ってみました。
①「ド」を基準にした11通りの組み合わせについて、表にまとめるとこうなります。
振動数比というのは、それぞれの音の振動数(Hz)を対比したもので、これが簡単な整数比であるほど、「安心する響き」に聞こえるという仕組みです。
但し、簡単な整数比になりすぎると、安心し過ぎて「落ち着いた響き(無色透明)」になってしまいます。(①⑥と①⑧が該当)
ハッピーバースデイに当てはめると
今回は①「ド」を基準にしましたが、他の音でも鍵盤同士の距離が同じなら音の響きも同じになります。(例:①②と②③と③④は全て同じ響き)
前回同様、「ハッピーバースデイトゥーユー」に登場するコードで見てみましょう。
さっきの表と見比べながら音を鳴らしてみてください。
C:安心する響き
鍵盤の距離は「5」なので、安心する響き。
G7:不安になる響き
鍵盤の距離は「7」なので、超不安な響き。
F:どちらでもない中間の響き
鍵盤の距離は「8」なので、無色透明。
まとめ
ハッピーバースデイに出てくる「G7」というコードは、最も複雑な振動数比を持ち、人を「超不安」にする響きを奏でます。
数あるコード進行の中でも最もパワフルで、最も進行感を持つのが、この「G7」から安心の「C」に進行する動きとなります。
世の作曲家や編曲家は、この物理法則に沿ってコードを並べ、音楽を作っています。