叙述トリックとは何か(解説編)
土曜日の昼下がり。
A子は、友人のB子とカフェで少し遅めのランチをとっていた。
店は空いていて、2人以外の客はテーブル席にカップル1組とカウンター席に男性1人のみ。
「突然だけど、叙述トリックって知ってる?」
「叙述トリック?」
「ミステリー小説のトリックの一種なんだけど、聞いたことない?」
「私、本読まないからなー」
「わかりやすく言うと、読者の先入観や思い込みを利用して、一部の描写をわざと伏せたり曖昧にぼかしたりすることで、作者が読者に対してミスリードを仕掛けるトリックのこと」
「え、全然わかりやすくないんだけど」
「例えば、女性だと思っていた登場人物が実は男性だったとか、別人だと思っていた登場人物が実は同一人物だったとか、まさに小説ならではのトリックだね」
「へー、ちょっと面白そう。おすすめの作品を教えて」
「おすすめに挙げた時点でネタバレになっちゃうからあんまり言いたくないんだけど、最初の1冊を選ぶならこれかな」
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「私もこれを読んで叙述トリックにハマったんだけど、『1行ですべてがひっくり返る』っていうレビューの通り、最初に読んだ時の衝撃は半端なかったよ」
「そんな風に言われると、ちょっと読んでみたくなるね」
「騙されたと思って、一度読んでみてよ。おっと、次の予定があるので、今日はこの辺で失礼するね」
叙述トリックとは何か(実演編)
A子「あのおじさん、急に話しかけてきて、ちょっと怖かったね」
B子「うん、でも私は本好きだから、叙述トリックの小説ちょっと読みたくなっちゃった」
A子「十角館の殺人、だっけ?」
B子「そうそう。このあとまだ時間ある?」
A子「大丈夫だけど」
B子「じゃあ本屋に付き合って」