ビートルズのアルバムを全く聴いたことが無い人に「最初の1枚」としてどれを勧めるか。
いろんな切り口があると思いますが、僕はこちらのアルバムをお勧めします。
ラバーソウル
1965年12月リリース。
アルバムとはシングル曲の詰め合わせであり、あくまでも曲単位でしか価値を測られなかった時代に、「アルバムであること」自体に価値を見出した世界で最初の作品です。
※いわゆるコンセプトアルバム:ある一定のテーマまたは物語に沿った楽曲によって構成されたアルバム。アルバム全体でひとつの作品になっている作品。
一般的にこのアルバムはコンセプトアルバムとして扱われないことが多いのですが、明らかに「ラバーソウル」というテーマに沿った楽曲によって構成されており、アルバム全体でひとつの作品として聴こえます。
そして1966年5月、このアルバムに刺激を受けた1人のミュージシャンが、1枚のアルバムを発表します。
ペットサウンズ
「ペットサウンズ」は、ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンが作った世界で二番目のコンセプトアルバムであり、
ブライアン・ウィルソンからビートルズ(ラバーソウル)への「アンサーソング」ならぬ「アンサーアルバム」です。
一般的には、このアルバムもコンセプトアルバムとして扱われないことが多いですが、明らかにコンセプトアルバムです。ラバーソウルよりもわかりやすくコンセプチュアルですね。
それにしても、ブライアン・ウィルソンが「ラバーソウル」に刺激を受けてから「ペットサウンズ」を完成させるまでわずか半年足らず。
冷静に考えて頭おかしいですね。
ミュージシャンの中で「天才」という言葉が一番似合うのは、この時期のブライアン・ウィルソンだと思います。
そして1967年6月、このアルバムに刺激を受けた1人のミュージシャンが、1枚のアルバムを発表します。
サージェントペパーズロンリーハーツクラブバンド
はい、またビートルズに戻ってきました。
「サージェントペパーズ〜」は、ビートルズのポール・マッカートニーが作った世界で三番目のコンセプトアルバムであり、
ポール・マッカートニーからブライアン・ウィルソン(ペットサウンズ)へのアンサーアルバムです。
このアルバムから、一般的にもコンセプトアルバムとして扱われるようになりました。
誰が聴いてもわかりやすくコンセプチュアルな分、少し味が濃いというか、しつこく感じてしまうのですが、このぐらいやらないと当時はコンセプトアルバムという存在を認知してもらえなかったのだと思います。
そして同じく1967年、1人のミュージシャンが1枚のアルバムを制作しようとしましたが、途中でノイローゼになり力尽きてしまいます。
スマイル
「スマイル」は、ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンが「ペットサウンズ」を更に昇華させようというコンセプトで制作が開始されましたが、完成には至らず幻となったアルバムです。
「スマイル」の未完を以って、ビートルズとビーチボーイズの壮大なアンサーアルバム合戦は終焉を迎えます。
※2004年9月、37年の時を経て「スマイル」は完成することになるのですが、ビートルズはとっくに解散しており、アンサーとしては遅すぎました。
まとめ
気付いたら、1960年代中期のロック史を真っ直ぐに駆け抜けてしまいました。
このように、「ラバーソウル」を入り口にすることで、ロック史に名を刻む名盤を数珠繋ぎに聴くことができます。
これこそが、「ラバーソウル」を最初の1枚としてお勧めする最大の理由です。