最近、子供と一緒に「遊戯王ラッシュデュエル」というトレーディングカードゲーム(略してTCG)にハマっています。
本記事では、以下について解説します。
- TCGの基本構造
- 「遊戯王ラッシュデュエル」の将来性
TCGの基本構造について
TCGとは
TCGとは、各プレイヤーがコレクションしたカードの中から、自由に、あるいはルールに則して組み合わせたカードの束(「デッキ」と呼ぶ)を持ち寄り、2人以上で対戦を行うゲームです。
カードのパワーや組み合わせによって勝敗が分かれるため、メーカーは定期的に新しいカードを発売し、ユーザは対戦に勝つために必要なカードを購入するというビジネスモデルになっています。
新しいカードの追加
メーカーは基本的に既存のカードよりも価値のあるカードを追加しなければなりません。
そうしなければ新しいカードが売れないからです。
ただし、単純に上位互換だけを追加してしまうと、既存のカードが紙切れになりユーザ離れに繋がってしまうため、メーカーは慎重にカードを選択しなければなりません。
- 既存カードとの組み合わせで価値が上がるカード
- 既存のカードプールで勝率の高いデッキへの対策となるカード
このように既存のカードも生かしつつ、ゲーム全体のバランスを整えるカードを追加するのが最良の選択となります。
インフレ
ただし、最良の選択を無限に続けることは不可能です。
どこかで必ずカードデザインの選択肢が枯渇し、上位互換を追加せざるを得なくなります。
また、カードプールが増えるにつれてデバッグ(強すぎる組み合わせが存在しないかどうかの事前チェック)が困難となるため、どこかで必ずバグ(強すぎるデッキ)が発生します。
これらの相乗効果でゲームバランスは崩壊し、最終的にゲームとして成り立たない状況にまで発展します。
規制
こうなると、もうカード追加によるバランス調整は不可能です。
最後の手段として、メーカーは強すぎるカードの規制(ルール上使えなくする)という強引な手段で軌道修正を図ります。
必死に集めたカードがある日突然使えなくなるため、ユーザ離れは加速しますが、このままゲームとして成り立たない状況が続くよりはマシという企業判断です。
更なるインフレと規制
規制によって焼け野原となったカードプールを待ち受けるのは、更なるインフレと規制です。
先程「メーカーは既存のカードよりも価値のあるカードを追加しなければならない」という話をしましたが、ここで言う「価値」とは、
「自らで生み出したインフレを自らで規制し、その規制に対する更なるインフレによって生み出した価値」となり、私はそれを「本当の価値」だとは思いません。
遊戯王ラッシュデュエルの将来性
長い前置きでしたが、最近ハマっている「遊戯王ラッシュデュエル」の話に戻ります。
「遊戯王ラッシュデュエル」は、インフレと規制の繰り返しで複雑化した「遊戯王OCG」のリビルド版として、2020年4月にリリースされました。
リリースから1年が経った現在、カードプールも充実し、色々なデッキが活躍できる非常にバランスの良い環境になっています。
先程の「図1:一般的なTCGの歴史」で言うと、正に②成長期の真っ只中です。
このまま成長を続けると、どこかで必ずインフレが起こるのですが、「遊戯王OCG」の反省からか「ラッシュデュエル」のカードデザインはかなり慎重に行なっているように見えます。
(「遊戯王OCG」は、リリースからわずか3ヶ月程で規制が掛かっていますが、「ラッシュデュエル」は今のところ無傷です)
メーカーがどこまでのロードマップを描いているかわかりませんが、「ラッシュデュエル」がTCGの歴史に新たな方向性を見せてくれるかもしれないという淡い期待と、今の成長期が1日でも長く続いて欲しいという強い願望を胸に秘めて、週末に発売される新弾を楽しみに待ちたいと思います。